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国内特派員/ちいかめ物語

「おばあちゃんの水草水槽」【第7話】

特派員 カナ | 2017年10月13日


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(プロローグ)
私はカナ、中学生。家族は、父、母、祖母、小学生の弟 ケンタです。動物大好きな家族みんなで可愛がっていた猫のチロが、ある日病気で死んでしまいました。すごく悲しかったけど、またペットを飼おうと話し合っていた矢先、今度はおばあちゃんが倒れてしまったのです。おばあちゃんを介護をすることになって、ペットどころではなくて諦めていたのですが、youtubeで水槽の中を元気よく泳ぐ可愛いカメを観た瞬間、一目ぼれ! おこづかいをはたいてネットのペットショップに申し込んだのです。

 

おばあちゃんは夏に具合が悪くなり、病院にしばらく入院したあと家に帰って来て、ほとんど奥の部屋で寝たきり状態になりました。週に1度、近所の病院にお迎えのバスで行って、一時はデイケアにも通っていましたが、だんだんむっつりと不機嫌になって、近頃は部屋でふさぎ込むことが多くなってしまったのです。

「こんにちわ、カナちゃん」

家に運び込まれた大きな水槽にびっくりしていると、次は商店街のお花屋さんの芳(よし)おじさんが来ました。
わたしも手伝って、みんなで荷物をおばあちゃんの部屋に運び込み、芳おじさんはこれまた驚いているおばあちゃんににこにこと挨拶しました。

芳おじさんとおばあちゃんは子供の頃からの幼なじみなのです。

運び込まれた荷物の中には石や流木、水槽の底に敷くきれいな砂利まであります。芳おじさんはそれらを順番に水槽に入れ、静かに水を入れました。
それから芳おじさんはプラスチックのパックから様ざまな水草や水苔を取り出して、おもりをつけたり、岩に糸でしばりつけたりして水の中に植えつけてゆきます。

そう言えばペットショップで買い物をした時、ディスプレイ用の大きな水槽の前で、パパとママは何やら楽しそうに話し合っていました。
その水槽にはきれいな水草がたくさん植えられ、モーターの水流でそよそよと、まるで水の中にひっそりと息づく森のように、静かに身をなびかせていました。

そして芳おじさんのお店にもやはり大きな水槽があって、同じようにたくさんの水草が植えられ、可愛い熱帯魚や小さくて色とりどりのエビがゆったりと泳ぎ、お店に行くたびにきれいに世話された水草の楽園をうっとりと眺めたものです。

それらは長年、芳おじさんが丹念に世話をしていたものです。

パパとママはおばあちゃんのために、あのペットショップにあった水草の水槽を作ってあげることにしたのです。
そしてきっと水槽の世話が上手な芳おじさんにお願いしたのでしょう。

最後に取りつけた蛍光灯の下、おばあちゃんの水草水槽の森は青々と緑豊かに明るく照らし出されて、わが家に誕生しました。

ケンタ「やったな、ちぃ!お前の別荘だよ」

いつまにかケンタがちぃを持ち出して、新しい水槽にポチャンと入れました。

カナ「こら、ケンタ、勝手に・・・」

ケンタを叱ろうとして、わたしは大きな水槽でくるくる自由に泳ぐちぃの姿に見とれていました。

 

(次回につづく。。)

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