最近問題の「アニマルホーダー」を考えてみた【第129回】/ペットと暮すトリビア

最近問題の「アニマルホーダー」を考えてみた


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「アニマルホーダー」という言葉を聞いたことはありますか?近年話題の、ペット飼育の問題です。荒れた部屋に多数の猫がいるニュースを見たことがある方も多いのではないでしょうか。どうしてそんなことになってしまうのか、ならないためにはどうすれば良いか、アニマルホーダーについて一緒に考えていきましょう。


目次


「アニマルホーダー」ってなに?

「ホーダー」とは「溜めこむ人」という意味です。つまりアニマルホーダーとは、自分の飼育能力の限界を超えて過剰に動物を飼う人のこと。きちんと面倒を見られないのに、動物を次々に連れてきてしまう人を指します。「アニマルコレクター」「過剰多頭飼育者」などと呼ばれることもあります。
犬や小鳥などあらゆる動物が対象ですが、とくに多いのは猫を集めるアニマルホーダー。猫はカラダも鳴き声も小さく、家の中に隠しやすいからだとされています。日本では近年認識され始めたばかりですが、アメリカやドイツでは10年以上前から問題になっていました。
アニマルホーダーの何が問題かというと、世話が行き届かず飼育崩壊を起こしてしまう点にあります。充分にエサが行き渡らず、トイレの片付けもできない。そのため衛生環境は劣悪になり、悪臭が発生したり、病気が蔓延したりすることもあります。ひどい場合は猫同士で共食いが発生することも。亡きがらはそのまま放置されていることが多く、発見された時には白骨化していることもあるそうです。病気になっても病院に連れて行かず、また避妊・去勢手術もしないので、どんどん仔猫が生まれて悪循環に陥ります。この状況は、もはや「虐待」と言って差し支えないでしょう。
そのため、単に多頭飼育している方を「アニマルホーダー」と呼ぶわけではありません。きちんと飼育ができているなら問題ありませんし、たとえ5匹でも飼育崩壊を起こしているならアニマルホーダーと言えます。

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「アニマルホーダー」になる人の特徴

アニマルホーダーには頭数を増やそうとする悪質なブリーダーや行き過ぎた動物愛護団体などもいますが、今回は個人でペットを飼育してホーダーになってしまう人を中心にお話しましょう。
アニマルホーダーになってしまう人にはいくつかパターンがありますが、共通しているのは「自分は虐待なんてしていない」と思っていること。動物に対して悪いことをしているなんてまったく思っていない、むしろ自分は良いことをしていると信じ込んでいる方がとても多いのです。思い込みが激しく、現実が客観的に見えていない。これがアニマルホーダーの大きな特徴です。アメリカでは、アニマルホーダーは強迫性障害や依存症、収集癖などと同じ精神疾患の一種だと考えられています。そのため、飼育崩壊を起こしているのになかなか手放せない、里親探しに熱心ではないなどの特徴が見られます。


<アニマルホーダーに多い3つのパターン>

「かわいそうだからタイプ」
野良猫をかわいそうに思ってどんどん連れてきてしまうタイプ。自分のもとで保護することが猫にとって一番の幸せだと信じ、猫を囲って支配下に置こうとします。それがどんな環境であっても保護することこそ愛だと思い込んでいるタイプで、手放すよう勧めてくる人を「ひどい、冷たい」とすら考えます。
なりやすい人…自分の考えが一番正しいと思っている人、物事にのめり込むと周りが見えなくなる人など。

「自分が寂しいからタイプ」
孤独感から動物に依存してしまうタイプ。動物に過剰に癒しや愛を求めたり、寂しさを埋めるためもしくは自己実現のためにたくさんの動物を集めてしまったりします。
なりやすい人…精神的に弱い部分がある寂しがり屋の人、周囲から孤立している人など

「無知ゆえ増えすぎたタイプ」
オスとメスを飼っているのに避妊・去勢手術をせず、どんどん増えてしまって面倒を見きれなくなるタイプ。手術を「かわいそう」と思い込んでいる人が多いようです。
なりやすい人…動物に対しての知識が少ない人など

もちろん上記の特徴がすべての人に当てはまるわけではありません。傾向としては中年~高齢者の一人暮らしの女性がアニマルホーダーには多いという統計がありますが、若い方や男性、夫婦世帯にもホーダーは存在します。様々な環境や要因が絡み合ってアニマルホーダーになってしまうようです。

「アニマルホーダー」にならないためには

多くの場合、ホーダーの根底にあるのは動物が好きという気持ちであり、自分がひどい仕打ちをしているという自覚がありません。動物好きな方ほど、アニマルホーダーにならないように気を付けたいですよね。
アニマルホーダーにならないためには、「知識をつけること」「周囲の人とコミュニケーションを取ること」が重要だと考えられます。猫の飼育にどれくらいお金がかかるか、自分の経済力で何匹なら飼育できるか、精神的な余裕はあるかなど、自分の飼育能力をしっかりと把握しましょう。
そして、日頃から友人や家族、近所の人とコミュニケーションを取るようにして、社会から孤立しないように心がけることがポイントです。何か困ったことがあれば相談できる相手を作りましょう。
もしもあなたの周囲にアニマルホーダーがいるのなら、周囲の人との連携が必要となります。根底にあるのは精神疾患だと言われているので、本人に直接訴えるよりも精神科医や臨床心理士、行政機関や動物保護団体と相談して解決していきましょう。

独身の中高年が増えている時代、今後もアニマルホーダーは増えるのではないかと予想されています。そんな中で正しい知識をつけることはとても重要です。不幸な動物が少しでも減り、またホーダー本人もラクになれるよう、できることから始めていきましょう。

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