猫のジャンプはなぜ高い? 驚異の跳躍力の秘密【第110回】/ペットと暮らすトリビア

猫のジャンプはなぜ高い?
驚異の跳躍力の秘密


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猫は人間と暮らす動物の中でも、野生の頃の姿を強く残している生き物だといわれています。高い身体能力と優れた跳躍力を持ち、驚くほどのジャンプを繰り出すことも!今回は、そんな猫のジャンプの秘密に迫ります。


目次


猫のジャンプの高さは体高の約5倍!

猫を飼っていると、びっくりするような高いところに猫がいることがあります。本棚やタンスの上、カーテンレールやベランダの手すりの上など、高くて足場がせまいところでも平気な様子でこちらを見下ろしたり、のん気に昼寝をしたりする姿を見たことがある人は多いでしょう。いったいどうして、そしてどうやって高いところに行きたがるのか、不思議になりますよね。

猫の祖先は木の上で生活をしていたとされています。高い木の上は敵から逃げのびるのにうってつけ。狩りの際に狙った獲物に襲いかかるのにも都合がよかったのでしょう。樹木にのぼり、時には枝から枝へと移動するために、跳躍力が発達したのだと考えられています

このご先祖様の性質を受け継いだ猫たちは、自分の体高(肩や背中から地面までの長さ)の4~5倍の高さを飛ぶことができるといわれています。個体差もありますが、一般的な家猫では平均1.5メートルくらいのジャンプ力を持っているのです。

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猫のジャンプが高い理由

驚くべき猫の跳躍力は、そのカラダが持つ3つの特長によって生みだされています。まず、ジャンプの原動力となっているのは後ろ脚の筋肉。猫の後ろ脚には、「速筋」と呼ばれる白っぽい筋肉が多くついています。この筋肉には、「すぐに疲れてしまうけれど、瞬間的・瞬発的に強力に動ける」という特徴を持つ筋繊維が高い割合で含まれています。猫特有の「高いものに飛び上がる」、「短距離を一気に全力疾走する」、「狙った獲物に向かって素早く飛び出す」といった動きは、この筋肉の性質によるものです

そのかわり、猫は犬のような長距離走は得意ではありません。家の中を賑やかに走り回っていた猫が、ふと気がつくと寝ているということがあるのは、筋肉が疲れやすいからなのかもしれません。

猫の瞬発力をさらに高めているのが、猫の骨格です。猫の背骨は人間や犬などに比べてとても柔軟性に富んでいて、弓のようにぐっと曲げることも、ピンといっぱいに伸ばすこともできます。また、後ろ脚はとても長く、折りたたまれた構造になっています。伸縮自在な背骨と折りたたまれた後ろ脚の骨の構造によって、猫はバネのように伸縮自在な骨格を獲得しているのです。

そして忘れてはならないのが、猫の身軽さ。優れたジャンプ力があっても目標地点に着地できなければ、猫といえどもケガをしてしまいます。猫の体重は、飼育環境下によって大きく変わりますが、理想は3~5kg程度。驚異的な筋肉と伸縮自在な骨格、そしてすらりとした体型があるからこそ、猫は自分の目線よりもはるかに高いところに飛び上がることができるのです。

猫もジャンプに失敗することも

ジャンプが得意な猫たちですが、たまには失敗することもあります。テレビなどで面白動画として特集されることもある猫のジャンプ失敗シーンは、その真剣な表情とのギャップもあって、可愛らしく微笑ましいもの。でも猫たちがジャンプを失敗するのには、何らかの理由が隠されていることも多いです。

小さな仔猫は、筋肉や骨格が十分に発達していません。人間の子どもがよく転ぶように、仔猫もよく転んだり落ちたりします。成猫より体重が軽いので大ケガをすることは少ないですが、時には骨折してしまうことも。また、高齢の猫や肥満気味の猫も注意が必要です。猫たちがジャンプを失敗した後は、痛そうにしていないか、歩き方がおかしくなっていないかなどをしっかり観察し、ケガがないかを必ずチェックしてあげましょう

また、猫たちのジャンプの失敗は、家具や家の建材が原因になることもあります。猫たちのジャンプ能力は、木の上の生活で身についたものなので、滑りやすい素材は苦手です。床やテーブル、階段の手すりなどにツルツルした素材が使われている場合は、猫たちの動きに注意してあげましょう。

猫が安全にジャンプできる環境を作ろう

猫が高いところが好きなのは、猫の先祖たちの頃に身についた本能です。そのため、猫たちがジャンプするのをやめさせるのはほぼ不可能。それでも、高いところにのぼって降りられなくなったり、無理に移動しようとしてケガをしたりしてはかわいそうですよね。猫が気楽に高いところに移動して、リラックスできる環境を作ってあげましょう

猫が高いところへ行くルートを作る、高いところに居心地のいい場所を用意するという点で、キャットタワーはとてもおすすめの猫用アイテムです。また、猫の年齢やカラダの大きさに合わせて、猫たちと過ごす部屋の家具を確認することも大切。とくに成長途中の仔猫や高齢の猫を飼っている方は、猫の年齢に応じて運動能力も変わっていくことを考慮して、家具やキャットタワーの高さや配置を工夫してあげましょう。

また、脚が短い種類の猫は、やはりジャンプは上手ではありません。マンチカンなどの短い足の猫を飼う場合は、低めのキャットタワーを用意してあげるといいでしょう。

躍動感のあるジャンプは、猫らしい魅力のひとつです。猫にとって高いところは、安心で安全な場所でもあります。家の中で飼育している猫は運動不足になりがちですので、猫が得意なジャンプを上手に利用して、運動不足解消や、猫にも人にも居心地のいい部屋作りに活かしてみてはいかがでしょうか。

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