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ペットを守る法律アレコレ

迷子の猫を保護しました。このまま飼ってもいいでしょうか?【第13回】

編集部 まめお | 2017年06月07日


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質問

散歩中に、迷子らしい首輪をつけた猫を見つけ保護しました。
近所では見かけない猫で、迷子札もつけていませんでした。
とても人懐っこい良い子なので、できればこのままうちで飼いたいと思うのですが、問題ないでしょうか?

 

 

 

答え

勝手に飼うと、損害賠償や刑事罰の危険があります

kuri
この記事の制作・監修

栗脇法律事務所 栗脇康秀弁護士
福岡県弁護士会所属。早稲田大学法学部卒。損害補償事件を中心に、依頼者に安心・納得・解決力をお届けします。
http://kuriwaki.jp/

このコーナーで繰り返しご説明している通り、ペットとなる動物は、法律上「物」とされています。そして、民法239条では、「所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する」とされていますので、飼い主のいない動物を拾ってペットとして飼い始めた場合は、その動物の所有権を質問者さんが取得することになります(厳密にいえば、本当に飼い主がいないのかなど、超えるべきハードルがありますが)。

一方、今回は首輪をつけた猫ということなので、その猫には飼い主がいると考えられます。そして、その飼い主はその猫の所有権者なので、質問者さんが勝手にその猫を飼った場合、もともとの飼い主は所有権に基づく返還請求をすることができますし、所有権侵害に基づく損害賠償請求もできるということになります(民法709条)。さらに、飼い主がいると知っていたにもかかわらず、そのペットを自分で飼う場合、刑法上は占有離脱物横領罪(刑法254条)という罪にもなりかねません。

 

拾った猫はどうすればいいの?

自分で飼うと民事上や刑事上のペナルティーがあるなら、迷子の猫を見つけたとしても、そのまま見殺しにしないといけないということなのでしょうか?

決してそういうわけではありません。ペットの動物は法律上「物」にあたるのですから、飼い主の下を離れたペットは、落とし物などの遺失物と同じように、遺失物法の適用を受けることになります。そして、遺失物法4条1項では、「拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない」とされています。

ですが、飼い主が誰か分からないのに「遺失者に返還」なんてできませんよね。そのため、迷子のペットを見つけたら、警察に届ける必要があるのが原則です。ただ、警察に届けられても、警察の方が飼ったり世話をしたりするのは大変です。ですので、平成18年に遺失物法が改正され、「前二項の規定は、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)第三十五条第三項に規定する犬又は猫に該当する物件について同項の規定による引取りの求めを行った拾得者については、適用しない。」とする4条3項が規定されました。

このとおり、迷子のペットを見つけたら、飼い主が分かる場合は飼い主に返して、飼い主が分からなかったり飼い主に直接返すのが難しい場合は、各地の動物愛護センターに届ければいいということになります。

 

やっぱり自分で飼えないの?

例えば、福岡市動物の愛護及び管理に関する条例16条4項では、市が引き取った動物について、「飼養を希望する者からの申出があったときは、その者に当該動物を無償で譲渡することができる」とされています。これは福岡市の条例ですが、全国各地でも同様の条例があります。
ですので、届けた迷子を自分で飼いたい場合、動物愛護センターに届ける際に、飼い主が見つからない場合には自分が譲り受けて自分が飼い主になるという届出をしてください。そうすることで、適法に飼い主になることができるのです。
ちゃんと手続きを踏めば大丈夫ということですね。ご安心いただけたでしょうか。

 

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